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東京地方裁判所 昭和47年(ワ)11202号 判決 1976年3月23日

原告 松田文雄

被告 株式会社自動車工業新聞社 外一名

主文

一  原告の被告らに対する請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告株式会社自動車工業新聞社は原告に対し、同社発行の自動車工業新聞の第一面に別紙(一)記載の謝罪広告を同記載の掲載要領に従つて一回掲載せよ。

2  被告らは原告に対し、各自金二〇〇万円及びこれに対する昭和四八年二月二八日から支払いずみまで年五分の割合による金員の支払いをせよ。

3  訴訟費用は被告らの負担とする。

4  第2項につき仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

(被告株式会社自動車工業新聞)

1 原告の請求をいずれも棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

(被告中村幸男)

1 原告の請求を棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

第二当事者の主張

一  請求原因

1  (原告及び被告らの地位)

原告は任意消費者団体である日本自動車ユーザーユニオン(以下「ユーザーユニオン」という。)の代表者兼事務局長の地位にある者、被告株式会社自動車工業新聞社(以下「被告会社」という。)は、週刊業界紙「自動車工業新聞」を発行する者、被告中村幸男(以下「被告中村」という。)は被告会社の代表者であり、かつ右新聞の編集者兼発行人である。

2  (本件記事の掲載)

前記「自動車工業新聞」の発行部数は約五万部にのぼつているが、被告会社は昭和四六年二月二三日付の同紙(第一一二八号)の第一面に、「疑惑に包まれた幽霊団体!!元総務部次長がユーザーユニオンを糾弾。公開質問状出す。松田事務局長は質問状と真疑取材無視。」という見出しをつけて別紙(二)記載のような内容の記事(以下「本件記事」という。)を掲載した。

3  (名誉毀損)

本件記事を通読すれば、ユーザーユニオンはその活動の実態が不明朗で、実在性すら疑わしい団体であり、それは原告が同団体の運営を独断専行していることに因る、との印象を強く読者に与えるものであり、これにより原告の名誉が毀損された。

とくに、見出しでユーザーユニオンを「疑惑に包まれた幽霊団体!!」と断定する部分は、右名誉毀損の核心をなすものである。

4  (被告らの責任)

(一) 被告中村について

ユーザーユニオンは、欠陥自動車を追放するための消費者運動を旗じるしとして昭和四五年に発足し、原告はその代表者として活発な運動を展開してきたのであるが、一方被告中村は、被告会社の代表者として、かねてから自動車業界の経営者らと親密な間柄にあつたことから、原告の欠陥車追放運動を苦々しく思つていた。そこへ、偶々かつてユーザーユニオンの総務部次長の地位にありながら、職務怠慢のかどで原告の裁断によりその職を追われた訴外斉藤隆が、右職務追放を根にもち、原告が同団体を独裁的に運営しているとして原告に対し公開質問状(以下「本件公開質問状」という。)を発するという事件が発生した。被告中村は右の事実を聞知するや、これを奇貨として、原告の名誉を毀損する意図のもとに、「疑惑に包まれた幽霊団体」という虚偽の見出しを付し、原告に対する中傷に満ちた本件記事を執筆して、被告会社発行の前記新聞に掲載したものである。

よつて、被告中村は民法七〇九条に基づき原告の損害を賠償すべき責を負う。

(二) 被告会社について

被告中村の前記のような本件記事の掲載は、被告会社の業務の執行としてなされたものであるから、同社は民法七一五条に基づき原告の損害を賠償すべき責を負う。

5  (損害)

ユーザーユニオンは正会員約一五〇〇名、準会員約三〇〇〇名を擁する消費者団体であり、原告はその代表者として真摯にその運営にあたつてきた者である。それだけに、本件記事により原告が蒙つた精神的損害は甚大にして回復困難なものというべく、右損害の賠償としては、金二〇〇万円の慰藉料の支払いと謝罪広告をなさしめるのが相当である。

6  (結論)

よつて、原告は不法行為による損害賠償として、被告会社に対し、同社が発行する自動車工業新聞の第一面に、別紙(一)記載の内容の謝罪広告文を同記載の掲載要領に従つて一回掲載することを求めるとともに、被告らに対し各自金二〇〇万円及びこれに対する本件不法行為後の日である昭和四八年二月二八日から支払いずみまで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

二  請求原因に対する被告らの認否

1  請求原因1の事実のうち、原告がユーザーユニオンの代表者兼事務局長であることは知らないが、その余は認める。

2  同2の事実のうち、「自動車工業新聞」の発行部数が五万部であることは否認するが、その余は認める。

3  同3の事実は否認する。

本件記事はユーザーユニオンに関する記事であつて、何ら原告個人の名誉に係るものではない。

4(一)  同4の事実のうち、被告中村がかねてから自動車業界の経営者らと交際をもつていたこと(但し、原告主張のように「親密」ではない。)、斉藤隆が原告に対し公開質問状を発したことは認めるが、ユーザーユニオン及び原告の活動状況、右斉藤が公開質問状を発するに至つた経緯は知らない。原告のその余の主張事実は否認する。

損害賠償責任の主張は争う。

(二)  被告中村の本件記事掲載が被告会社の業務としてなされたことは認める。

損害賠償責任の主張は争う。

5  同5の事実のうち、損害額算定の基礎となる事実は知らない。損害額は争う。

三  被告らの抗弁

1  (「自動車工業新聞」について)

被告会社が発行する「自動車工業新聞」は、昭和二六年六月の創刊にかゝり、自動車業界に関係のある行政上の問題、普通車からバイクに至るまでの全車種の生産・販売事情、自動車関連産業の業界事情等を主たる記事内容として、毎週一回(他に地方版、臨時版を月に二ないし四回)発行されているもので、その読者層は自動車製造・販売業者およびその関連業者のほか、官公庁、学校、銀行、一般ユーザーに及んでいる。

2  (本件記事掲載の経緯)

ユーザーユニオンの名は、欠陥自動車追放運動の推進団体として、昭和四五年春ころからマスコミを通じて報道されるようになつたが、欠陥車問題が国会の場でも議論され、一つの社会問題としてクローズアツプされるに及んで、ユーザーユニオンの活動は世の注目と関心を集めるようになつた。かくするうちに、被告会社は昭和四六年二月一六日、かつてユーザーユニオンの総務部次長の地位にあつた斉藤隆が、同団体の会長小宮山重四郎及び専務理事兼事務局長である原告に宛てた本件公開質問状のパンフレツト一部を入手したことから、報道機関としての社会的使命に基づき、前記のようなユーザーユニオンに対する世人の関心に応えるべく、前記パンフレツトを素材としてユーザーユニオンの組織及び活動の実態を紹介する記事の作成を企画し、まず編集長西村実が斉藤隆に面談して、右公開質問状の内容の真疑について取材した。他方、被告会社は記事の公平を期するため、原告に対しても、本件公開質問状に関する取材に応じられたい旨再三申し入れたが、その都度原告の拒否にあつて実現しなかつた。そこで被告会社は、止むなく、前記企画にかゝる記事の構成として、本件公開質問状の全文と斉藤隆に対する取材結果をまず掲載し、次いで訴外株式会社産業経済新聞社(以下「産業経済新聞社」という。)が、同社発行にかゝる「サンケイ新聞」(昭和四六年二月一七日付)に右公開質問状に関する原告の談話を掲載した記事をそのまゝ転載し、更にユーザーユニオンの一般会員の意見も盛り込むこととして本件記事を作成、掲載したものである。

なお、「疑惑に包まれた幽霊団体!!」という見出しの文言は、それに続く「元総務部次長がユーザーユニオンを糾弾」「公開質問状出す」という見出しと合わせて読み、かつ本文を通読してみれば、本件公開質問状のうち「……………これが結果的には各方面の誤解を招き、更には幽霊団体とまで悪評されるに至つている。」との部分の文言を採用したにすぎないことが容易に判読でき、被告会社が、ユーザーユニオンを「疑惑に包まれた幽霊団体」と断定しているものではないことが理解されるのである。

3  (違法性阻却)

以上のとおりであつて、本件記事は公共の利害に関する事項につき、専ら公益を図る目的のもとに、事実の真相を公正に報道したものであるから、本件記事の掲載は違法性を阻却するというべきである。

第三証拠<省略>

理由

一  成立に争いのない甲第二号証の一ないし九、第三号証、証人田水真人、同津崎利夫、同西村実の各証言、原告本人尋問の結果を総合すれば、ユーザーユニオンは、消費者運動の活発化という社会情勢を背景に、自動車の品質、性能に関する情報の提供、自動車に関するクレームの受理及びその解決の促進等を主たる事業目的として、昭和四五年四月に発足した消費者団体であること、昭和四六年二月当時、ユーザーユニオンは正会員、準会員を合せて一万名を超えるメンバーを擁し、東京都渋谷区に本部を、大阪、京都及び北海道に支部を置き、機関誌「ジヤツク」(月刊誌で、発行部数は約三万部。)の発行などを通じてその事業目的に沿つた活動を継続していたこと、ユーザーユニオンは、右活動の一環として、創立当初から欠陥自動車摘発のキヤンペーンを推進してきたが、わけても昭和四五年九月、訴外本田技研工業株式会社(以下単に「本田技研」という。)の製造にかかる軽四輪自動車「ホンダN360」を欠陥車として指摘し、その追放運動を各方面にわたつて強力に展開した結果、同月衆・参両議院の交通安全特別委員会が右欠陥車問題を議題にとりあげるに及んで、ユーザーユニオンの活動は社会の耳目と関心を集めるに至つたこと、原告はユーザーユニオン創立の当初から、同団体の専務理事兼事務局長の地位にあり、実質的にその運営全搬を統括するとともに、日常の事業活動においても先頭に立つてこれにあたつていたが、同団体を代表する権限はなかつたことが認められる。

他方、被告会社が週刊業界紙「自動車工業新聞」を発行するものであり、被告中村が同社の代表取締役であるとともに、右新聞の編集兼発行人であることは、原告と被告らとの間に争いがなく、証人西村実の証言によれば、右新聞は自動車製造・販売業及びその関連産業の業界情報を主たる記事とするもので、昭和四六年二月当時の発行部数は約三二〇〇ないし三三〇〇部に及び、右各産業界の関係者、一般自動車ユーザーなどを読者層として、その領布地域は日本全国及び一部の外国に亘つていたことが認められる。

二  被告会社が昭和四六年二月二三日付「自動車工業新聞」の第一面に本件記事を掲載したことは、原告と被告らの間に争いがない。

そして、前掲各証拠(但し、甲第二号証の一ないし九、第三号証を除く。)及び成立に争いのない甲第一号証によれば、被告会社が本件記事を掲載するに至つた経緯は次のとおりであつたと認められ、他にこの認定を左右するに足りる証拠はない。

訴外斉藤隆は、ユーザーユニオン創立の当初から会員となり、本部事務局の臨時雇い職員として勤務し、主として会員募集の業務にあたつていたが、その業務遂行の便宜上原告の許諾を得て、対外的には総務部次長という肩書きを使用していた(ちなみに、ユーザーユニオン本部事務局は、技術部、編集部、部員共済部の三部から成り、総務部という職制は存しない。)。ところが、前記のようにユーザーユニオンが「ホンダN360」の追放運動を展開しはじめたころ、原告は、斉藤隆がユーザーユニオンの会員(とくに、「ホンダN360」の欠陥に関する情報を寄せてきた会員)の氏名を、本田技研の広報課長に洩らしているとの情報を入手し、以来同人が同社側の「スパイ」であるとの確信を抱くようになつたが、昭和四五年一二月末ころに至つて、とくに理由を明示しないまま同人に対して解雇を通告した。その後、昭和四六年二月一六日になつて、斉藤隆はユーザーユニオン会長の小宮山重四郎及び事務局長である原告に宛てた本件公開質問状を作成し、これを各新聞社などに送付するという挙に出た。本件公開質問状の内容は、ユーザーユニオンの運営の実権を握る原告が、同団体の活動の実態を厳に秘密にし、他の意見にも耳を貸さない、いわゆる「ワンマン経営」を行なつていると批判したうえ、同団体の組織、人事、経理の実態及び事業活動の具体的推進方法などについて報道機関を通じた回答を求めるという趣旨のものであつた。本件公開質問状の送付を受けた各新聞社では、前記のとおりユーザーユニオンの活動が社会の関心を集めている時期であつただけに、いつせいにこれを記事としてとりあげ、中でも産業経済新聞社は、とくに右公開質問状に対する原告の意見をも取材し、これを同社発行の「サンケイ新聞」に談話の形で掲載したが、右談話の中で原告は、斉藤隆にはユーザーユニオンの内部崩壊をもくろむ企業側のスパイの疑いがあると語つた。

他方、本件公開質問状は被告会社の編集部にも送付されてきたので、同社では編集部長西村実を中心に検討した結果、右公開質問状に盛られた内容の真疑を糾明して、これを同社発行の「自動車工業新聞」の記事とすることを企画した。そこで、被告会社は前後数回に亘り記者を派遣するなどしてユーザーユニオンに対して取材を申込んだが、いずれもこれを拒否されたため、結局ユーザーユニオン側から本件公開質問状に対する見解・反論を直接入手することは断念せざるを得なかつた。しかし、斉藤隆に対しては、西村実外一名が直接面談して、本件公開質問状を出すに至つた真意、その内容の真疑、スパイ容疑に対する反論などについて取材し、一方、ユーザーユニオンの一般会員約一〇名にも、電話で右公開質問状に関する意見聴取を試み、うち二名から明確な回答を得たが、その一人は本件公開質問状の内容を支持する者、他は原告の運営方針を支持する者であつた。かくして、被告会社は、前記企画にかゝる記事の構成として、まず本件公開質問状の全文及び斉藤隆に対する取材結果を登載し、原告側の反論としては、前記「サンケイ新聞」における原告の談話をそのまま転載したうえ、これらに対する被告会社の論評及びユーザーユニオン一般会員から聴取した意見を盛り込むことゝし、他方、見出し部分は、斉藤隆が本件公開質問状の中で「………これが各方面にいろいろな誤解を招く結果となり、ひいては幽霊団体という悪評を生むに至つております。」と述べている部分から援用した文言を用いることにした。そして、西村実の執筆により本件記事が作成され、昭和四六年二月二三日付の「自動車工業新聞」に掲載されることになつた。

三  そこで、本件記事が原告の名誉を毀損するものであるか否かについて検討する。

(一)  見出しについて

原告は、本件記事の見出し部分のうち、「疑惑に包まれた幽霊団体!!」

という文言が原告の名誉を毀損する核心的部分である旨主張する。

前叙のとおり、右文言は、斉藤隆の本件公開質問状中の文章から援用したものではあるが、同人においてもユーザーユニオンを「幽霊団体」と断定しているわけではないうえ、本件記事の本文部分の内容と彼比対照してみれば、右文言自体、その掲載位置、活字の大きさ・様式、感嘆符の使用などは、いずれも見出しとして必ずしも適切であるとはみなし難く、事実の公正な報道を使命とし、社会の公器ともいうべき新聞の役割に鑑みれば、被告会社としては右文言の選択等に関し、より慎重に配慮する余地があつたといい得る。

しかしながら、右文言はその余の見出し部分と併せ読めばユーザーユニオンなる団体に関するものであることが明らかであるから、原告の前記主張は、右文言がなにゆえに同団体の事務局長たる原告個人の名誉に係るか(原告が同団体の代表者であれば格別)についての具体的な主張を欠くものであつて、それ自体失当というほかはない。のみならず、一般的に、新聞の見出しは読者の関心を呼び起こすことを使命とし、記事導入の楔機を作出するのを目的とするという認識は、読者の間にほゞ定着していると考えられること、「疑惑に包まれた幽霊団体」という文言は、それ自体としては無内容で、何ら完結的な意味を有するものではなく、これに続く「元総務部次長がユーザーユニオンを糾弾」「公開質問状出す」という文言と合せ読むことによつて、一定の意味づけを与えられるものであるが、これらを虚心に通読すれば、「ユーザーユニオンの元総務部次長が、同団体を″疑惑に包まれた幽霊団体″と指弾して、公開質問状を出した」との趣旨に読みとるべきこと、見出し部分の末尾に「松田事務局長は質問状と真疑取材無視」という文言が付加されていることなどに照らして考えれば、本件記事の見出し部分において、被告会社がユーザーユニオンを「疑惑に包まれた幽霊団体」と断定し、更には事務局長たる原告の名誉を毀損したものとは到底認め難い。

(二)  本文について

次に、本件記事の本文から原告の社会的評価に係ると考えられる部分を摘出してみると、まず、本件公開質問状中に、原告によるユーザーユニオンの運営方法が「秘密主義」であり、他人の意見に耳を貸さない「ワンマン経営」である旨の批判が、更に斉藤隆、ユーザーユニオンの一会員である内山武司の各談話中にも右と同旨の批判がそれぞれ記載されている(以下これらを「本件批判部分」という。)。

しかしながら、本件批判部分は、原告の品性そのものを攻撃するものではなく、ユーザーユニオンの事務局長たる原告の組織運営方針に関し否定的評価を下すものであつて、かゝる批判は、およそ組織体の運営に携わるリーダー達が往々にして受けることのあるものというべきであるから、一般的には、かゝる批判がなされたからといつて、直ちにそのリーダーの社会的活動の意義及びそれを通じて社会に貢献しているという名誉感情を毀損するものとは断じ難い。しかも、本件記事における本件批判部分は、斉藤隆及び内山武司の個人的見解として記載されていることが一目瞭然であつて、被告会社の主観的認識ないしは評価として、原告の運営方法が「秘密主義」であり「ワンマン経営」であると断定しているものではないことが明らかであるうえ、本件記事の本文には本件批判部分と並んで、斉藤隆にはユーザーユニオンの内部崩壊をもくろむ企業側のスパイの疑いがある旨の原告の談話(前記のとおり、「サンケイ新聞」から転載)及びユーザーユニオンの会員林善三の原告を支持する談話が掲載されており、右のような各記事の内容、文章の体裁、順序、配列方法、分量などを総合してみれば、本件記事本文は、読者に対してことさらに本件批判部分が真実であることを印象づけるものとは思われない。

(三)  以上のとおりであるから、本件記事は全体として原告の名誉を侵害する程度には至らないというべきである。

四  そうすると、本件記事が原告の名誉を毀損することを前提とする原告の本訴請求は、その余の点について判断するまでもなく失当である。よつて、これを棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 大和勇美 上村多平 小池信行)

別紙(一) (謝罪広告の内容)

謝罪広告

当社発行の自動車工業新聞昭和四六年二月二三日第一一二八号の第一頁に「疑惑に包まれた幽霊団体!!元総務部次長がユーザーユニオンを糾弾云々」と題して、日本自動車ユーザーユニオン事務局長である貴殿の名誉を著しく傷つけるような記事を掲載したことをふかくお詫びいたします。なお調査の結果、右記事は全く無根であり、日本自動車ユーザーユニオンは実体のあるまじめで有益な消費者団体であることが判明しましたので、前掲の記事を謹しんで訂正させて頂きます。

編集兼発行人 中村幸男

株式会社自動車工業新聞社

日本自動車ユーザーユニオン事務局長

松田文雄殿

(掲載要領)

見出しは四倍活字ゴチツク、本文は二倍活字、記名宛名は三倍活字ゴチツクを各使用するものとする。

別紙(二)<省略>

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